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COLONシリーズ

機能が形態に従ってしまう Function Follows Form.


猿は離れたものを取るのに棒を使うことがある。人も自然時代においては猿のように、ある要求を満たすためにちょうど良い形や素材のものを環境から拾い、道具としたのだろう。人はやがてそれではあきたらず目的に合わせたものをわざわざ製作するようになる。近代合理主義と資本主義経済は、それを極限まで推し進めた。その結果、機能や生産性の必然性しか形を決定できなくなった。

だが、そこでいう機能とは何のことなのだろうか。ノートブックコンピュータのふたが小さなテーブルとしても使えるように、あらゆるものは転用、代用の可能性を秘めている。

ここでは、近代機能主義(ある機能に対しそれにふさわしい形態は自ずと決まる。いわゆる“形態は機能に従う”という考え方)に対するアンチテーゼとして、初めに形態を提出し、それに機能をはめ込んでいくことで、その機能の広がりを楽しむという方法で機能は形態に従うというテーゼを仮説として作品を制作した。

これらコロンシリーズの形態は、次のような特徴を持っている。

1. この形態は、三次元空間のXYZ座標軸の交点を示す象徴的な形状である。
2. この形態をある空間に置くと、そこに内と外という関係が発生し、空間的歪みが生じる。
3. この形態を転がして置き方を変えることは、自分のいる空間軸を回転させる身体遊戯につながる。
4. 同様に回転させることで同一基本形状のままその高さが変わる。

形態の持つこれらの性質は、それぞれの機能に対し邪魔になる反面、機能に空間性という性質を与える。

コロンシリーズは、このように機能から形を見出す伝統的な方法へのオルターナティブとして、形の持つ機能をそこに与えられた機能に関連させ、変容させていく方法であり、人と物との関係を身体や空間を媒介にしながらとらえ直そうという考え方である。
機能一辺倒でものを作る方法では、存在の大切なことが抜け落ちていくように思われる。